2015年11月30日月曜日

ANA国内線プレミアムクラスと普通席の狭間で

少し前に話題になったスカイマークがキャンセルしたA380をANAが導入するという観測記事。私個人としては”ない”話だと思っているのですが、A380を導入すれば面白いサービス展開ができるのではないかと思っています。


路線やダイヤ、運賃、マイレージプログラムなど、似たような事業展開ですが、ANAとJALで最も異なるサービスというか、JALにあってANAにないのがクラスJという中間サービスです。
(クラスJはシートピッチ、座席幅ともに広めの座席で、機内サービスに普通席の飲み物に加え、茶菓が提供されます。また、初めのドリンクサービスの際、CAさんが乗客の名前を付け、「〇〇様、本日はご搭乗ありがとうございます。」と普通席より丁寧な対応をしてくれます。)


ANAでSFC取得後は羽田=大阪などの短距離路線でプレミアムクラスは飛行時間が短く、フライト前後のサービスはSFCでも受けられるので「もったいない」、近距離は節約して、長距離で贅沢したいという考えがあり、ANAでもクラスJみたいな座席があったらなーと時々思います。


とはいえ、JALの3クラス設定のB777-200シートマップを見てみると



クラスJの後方座席は翼上になってしまい、個人的には飛行機からの景色も空の旅の醍醐味で、座席は窓側を選ぶという人間からしてみれば少し残念な位置です。

それ以上に、普通席では最前方でも翼の上ということになり、ANAのSFC同様にJALのJGC特典にも前方座席の優先指定サービスがあるようなので、せっかくJGCになったのに、指定できる座席が翼から後ろっていうのも微妙ですね。(嫌だったら+1,000円のクラスJにしろってこと!?)




そして、ANAが追随してクラスJのようなサービスを既存の機種で展開するとなると座席の配置も似たような形になってしまうでしょう。


そこで妄想しちゃったのが3クラス設定の国内線仕様A380です。

総2階建てのA380なので、1階席最前列から翼までを普通席+1,000~2,000円程度で幅広シート+プレミアムSABOで提供されるような持ち帰りできるお菓子の小箱を付ける「プチ贅沢シート」的な位置づけの新サービスを設定し、1階席後方を普通席とします。
そして、2階席前方をプレミアムクラス、2階席後方を1階席同様に普通席とします。(2階席は1階席よりも前方から普通席となるのでSFC会員の前方座席優先指定サービスでの狙い目とします。)


ANAの決算発表資料では日本の総人口減少傾向を理由に機材の小型化で路線維持に努めるとあり、大型機の導入は供給過多のリスクを伴います。
しかし、シニア層をターゲットに高付加価値旅行商品の提供がビジネスチャンスと戦略として紹介されています。


国内線で大型機となれば投入路線は必然的に羽田=那覇、羽田=新千歳がメインになると思います。そういったリゾート路線に「プチ贅沢」という選択肢を提供するとともに、これまでのプレミアムクラス、普通席の選択肢も利便性やそれぞれの特徴を残したまま継続できるのはA380(もしくはB747-8)のような2階席のある大型機ではないでしょうか?


また、「プチ贅沢」シートで機材大型化による座席数増加を抑えつつ、客単価を上げることで供給過多のリスクを軽減し、普通席は団体運賃を引き下げて搭乗率維持(アップ)を図り、さらに日本の航空会社唯一のA380といったセールスポイントで様々な客層を取り込むことで、A380導入はリスクよりもチャンスの方が大きいのではないかと思います。


ANAが好きなスポーツチームのスポンサー、小口ながらANAの現物株主、SFC会員(2015年に50,000PP到達、2016年取得予定)でありながら、飛行機を予約する際、羽田=那覇はもちろん、羽田=新千歳、福岡のように飛行時間が1時間30分を超えてくるとJALのクラスJを魅力的に感じてしまいます。もちろん、私はそれらの前提があり、最終的にANAを選ぶのですが、特定の航空会社でマイルを貯めていない、その都度、価格やサービスで比較して航空会社を選ぶという人も数多くいるはずで、国内線の普通席、JALのクラスJ、ANAのプレミアムクラス(JALのファーストクラス)で比較して、「普通席は窮屈だけどプレミアムクラス(ファーストクラス)は高い」、「広い座席がいいけど、国内線で機内食はいらない」などの理由で「JALのクラスJ」を選ぶということは十分に考えられ、そういった「クラスJ」を選ぶ客層をANAは丸々取りこぼしているように思えてしまいます。


日本の総人口減少傾向だからこそ、高付加価値旅行商品の提供だけでなく、プチ贅沢(≒中付加価値旅行商品?)という選択肢も用意し、あらゆる需要を取り込めるような体制になってほしいです。