2016年1月2日土曜日

ANAが総2階建て大型旅客機A380を導入!?

2016年に入ってANAが総2階建てのA380を3機導入するという報道が複数のメディアからなされています。

昨年も似たような報道があり、その際はどうせ飛ばし記事だろう!とは思いつつも、スカイマークの再建スポンサーを選定する債権者集会の投票でANAがアメリカのデルタに大差で勝利したので、スカイマークにA330をリースしていたリース会社や、キャンセルされたA380のメーカーであるエアバスといった大口債権者に何かしら見返りがなければ、ここまでの支持を得ることは難しいとも思っていました。


まず。ANAは「ピタッとフリート」という需給に応じて機材を柔軟に振り分けるシステムを導入していて、そのシステムを可能にしているのが減価償却が済んでいる運行開始から20年前後経過したB777-200の存在です。

画像のB777-200(機体番号JA712A)は2004年10月登録の使用開始12年目の機材


「ピタッとフリート」の詳しい説明は割愛しましが、本来は退役してもおかしくない機材を使用し続けるということは、整備費用がかさんだり、予期せぬ故障や不具合などのリスクもあると思うので、スカイマークが運航していた機材と導入予定だった合計10機のA330をANAが引き受け、ANAのB777初号機であるB777-200(機体番号JA8197、1995年10月登録の21年目)などを退役させるのが現実的ではないかと思っていました。


これならば、リース会社、エアバスにとってはもちろんのこと、新型機の納入はB787-10が2019年頃、次世代型B777に至っては2021年とも言われているので、短期間で同一機材を多少のディスカウントのおまけ付き導入できることはANAにとってもメリットであると考えました。

しかし、こちらも報道ベースではありますが、その後、ANAもA330の導入を検討したものの、スカイマーク仕様のA330は全席がJALのクラスJのような幅広でシートピッチも余裕のある座席配置だったので、ANAの国内線仕様への改修に予想以上のコストがかかるのため断念したらしいです。



そして、今回改めて報道されたのがANAがA380を3機導入し、東京=ハワイ(ホノルル)路線に就航させるということです。個人的には「ANA国内線プレミアムクラスと普通席の狭間で 」にも書いた通り、A380導入にはもちろんデメリットはあるものの、工夫次第ではメリットの方が大きいと思います。
ただ、今回報道された通り、東京=ハワイで使用するのはどうなのでしょうか?


現状、ホノルルへは成田から2便、羽田から1便の計3便が運航されています。機材は基本的に中型機であるB767-300ERです。ここにA380を投入すると1便あたりの座席数が倍以上に急増します。

ちなみに、機材繰りの関係で、羽田発のNH186便の機材はホノルルからNH181便で成田に、成田発2便のうちNH182便の機材がホノルルからNH185便で羽田に向かうので、羽田発着便をA380で運航するとなれば、成田発着便にも1往復A380を充てなければなりません。6便中4便がA380となったら供給過多になる可能性が高いと思います。

そもそも、羽田がA380に対応していないという話もあるそうですが、C滑走路の改良・3,360mへの延長工事が完了し、供用開始されたので理屈上は羽田へのA380就航も可能なようです。


また、その4便をA380で運航すると機材は3機でちょうど良いのですが、NH185の羽田着は22:05で、NH186便の羽田発は22:35なので、NH185便で到着したA380は翌日のNH186便にするしかありません。2機のA380のうち1機を交互に23時間以上駐機しておくのは勿体ないので、ホノルル以外にもA380で運航される国際線が設定されるのか、国内線で利用されるのか分かりませんが、ホノルル線だけで運用ということはなさそうです。

個人的には国内線で飛ばしてほしいと思うのですが、後方の気流の問題から離陸間隔を長めに取らないといけないので、A380を羽田で利用できるのは早朝深夜のみという話もあり、早朝深夜の国内線自体が少ないですし、小型機でも満席になりにくいので難しいのでしょうか。
滑走路が4本あるので、離発着に向きや時間を工夫すれば昼間でも大丈夫なんじゃないの?と素人考えでは思ってしまいます。


A380のカタログベースでの価格(定価)は3機で1500億円と言われていますが、そもそも定価で契約すること自体が少なく、スカイマーク向けに製造中だった機体も含むという話もあるので大幅な値引きやアフターサービスを盛り込んだ契約になると思われるので、世間的には「大丈夫か?ANA」、「ANAは先を急ぎすぎて足元すくわれる」といったネガティブな意見も聞かれることと思いますが、原油価格の低迷が今後も続くと予想され、運航コスト面でも追い風が吹いています。



何はともあれ、飛行機が好きにとっては楽しみな話に変わりありません。